電子通信利用役務の提供取引「リバースチャージ方式」について

電子通信利用役務の提供取引「リバースチャージ方式」について

1.背景

View from Tokyo Metropolitan governmental building
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今日、日本の財政は危機に見舞われていると言われています。財政を再建するために国債の発行の抑止、税収の増加等の施策が実施されています。
税収の増加について、私たち一般人の最も身近なものに消費税関連の話題があります。消費税率が5%から8%に上昇し、今後、近い将来10%にまで引き上げられることが予定されています。
そのような中、平成27年10月の消費税改正において、海外の電子通信利用役務の提供に「リバースチャージ方式」による租税賦課制度が新たに適用されこととなっています。この「リバースチャージ」について、その制度の内容をとりまとめてみました。

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電子通信利用役務の提供取引とは

電子通信利用役務の提供とは、簡単にいうとインターネットを介して提供されるサービスで、電子書籍や音楽、広告のネット経由での配信サービスやクラウドサービス等を指します。
具体的には、日本に住む人が、AmazonでKindleによって書籍を購入する場合などが該当します。

改正前の制度内容

平成27年10月改正前の消費税法では、電子通信利用役務の提供取引いついては、「役務の提供を行う者の住所」を基に消費税の対象となるか否かが判定されていました。
この制度の下では、同じ電子書籍を販売した場合、海外の事業者は日本の消費税がかからずに販売できる一方、国内の事業者は消費税を上乗せして販売する必要があり不利な状況になっていたのです。国内事業者の中には、わざわざ海外から役務提供を行い租税回避ともとれる行動をとる者もいました。

改正後の制度内容・趣旨

このような状況を受けて、平成27年10月の消費税改正において、電子通信利用役務提供取引について、「役務の提供を受ける者の住所」を基に判定することに変更されたました。
Kindleで購入する電子書籍については、改正前は、消費税の課税対象とならなかったのですが、改正後は、電子書籍を読む人が日本にいるので課税対象となることとなりました。
例えば、海外のAmazonから電子書籍を購入し1,000円(税抜)を支払った場合、お金の動きは当然1,000円ですが、リバースチャージでは、税込みで1,080円分の支払いをしたと考えます。差額の80円は後に納税されることになります。イメージとしては80円預かった状態で、給与や報酬の源泉税のイメージに近いです。

制度の適用要件

リバースチャージ方式が適用されるのは事業者向けの電子通信利用役務の提供のです。つまり、企業間の取引の際にこのリバースチャージ方式が適用されることになります。それ以外の一般消費者が関連する電子通信利用役務の提供については、改正前と同様、国外の販売した事業者が納税義務を行うことになります。
また、このリバースチャージ方式は、当分の間、原則課税で課税売上割合が95%以上の事業者や簡易課税の適用される事業者については免除されます。

まとめ

リバースチャージ方式は、一見、海外での役務提供取引の公平性の立て付けのもと展開される制度にも見えます。
しかし、取引の公平性を担保するのであれば、改正前の消費税課税を免除されていた海外事業者にあわせて、国内事業者にも消費税課税免除を適用する選択肢もあるはずですよね。
取引の公平性を前面に出してはいますが、この制度も消費税率アップと同様に、消費税による税収の増加を狙った財政政策の1つなのです。