
私、それほどテレビは見ない方なのだが、お気に入りの番組がいくつかある。
これまでにブログで書いたものとしては、イッテQ、旅番組などであるが、これまた長寿番組の「吉田類の酒場放浪記」シリーズである。
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簡単に番組の内容をご説明すれば、酒場ライター(?)の吉田類が、日本各地の酒場を巡りリポートするグルメ番組。
と言えば聞こえはいいが、吉田類というオジサンが好きな酒とうまい肴で酔っ払い、それをナレーターが解説という、まあ酔っ払いを映しているだけの番組と言えばそれまでである。
これが長寿番組になると判断したプロデューサーは素晴らしい

この番組、正直BSでなければ成立しなかっただろう。
というのも、そもそもターゲット層がかなり限定される。
お酒をただうまそうに飲んで、気の利いたコメントを言うわけでもない。むしろ番組終盤は酔っぱらってコメントもろくにしない。
しかし、紋切型の番組構成と、アクの強くない吉田類が、世の酔っ払いの心をしっかりと掴みとっているのではないだろうか?
型がしっかりしていて、安心感があり、飽きが来ない

この番組、毎回全く構成が変わらない。
15分番組で、最初は最寄りの駅から始まる。
まだ薄明るい時間に始まるのだが、これは仕事帰りの夕刻ぐらいを想定しているのだろう。
そこから酒場までの道、あるいはその駅近辺のお店(酒場ではない場合が多い)を一軒程度紹介し、残りの10分程度で居酒屋飲みが始まる。
視聴者に対する酒場、そこに至るまでのストーリーの提示方法が秀逸で、行ってみたいと思わせる。
やはり、番組のプロデューサー・ディレクターが優秀なのだろう。
やはり、「吉田類」が素晴らしい

そして、この番組を語るのに、「吉田類」を語らずにはいられない。
吉田類は変わった経歴の持ち主で、アーティストとしてニューヨークやヨーロッパを放浪した経歴があり、さらに俳人として、酒場に関する執筆活動を行うなど多才である。
生涯独身を貫いていること、一人暮らしだが野良猫と長年暮らしていた、など色々見どころのある人物である。
番組内での彼は、それほど多くを語らないが、お酒を本当にうまそうに飲むのだ。
どこか人見知りで、引っ込み思案な感じがあるのが、一人で酒場に足を向ける男の代表として何か共感を得るのだ。
多弁でもだめ、ただのグルメ評論家でもだめ、ただの酒飲みでもダメ。
吉田類だから成立する、そんな番組である。