小保方晴子氏はいかなる点においても擁護されるべきではない3つの理由 ~STAP細胞捏造事件を振り返って~

Riken Research Institute Research Unit Leader Haruko Obokata News Conference
http://www.huffingtonpost.jp/2014/04/08/stap-matome-0410_n_5123116.htmlより引用

 

私が海外にいる間に日本で起きた事件の中で、もっとも印象に残っているのは「小保方晴子氏によるSTAP細胞捏造事件」である。私は科学者の端くれとして、この事件に強く関心を持つと共に激しい憤りを禁じ得なかった。彼女がSTAP細胞を発表し、疑義が生じ、それに反論し、徐々に全貌が明らかになっていく過程において、彼女を強く擁護する意見があった。

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はっきり言っておくが、「小保方晴子氏は本件において、1ミリたりとも擁護されるべきではない」ということである。以下に少なくとも挙げられる3つの理由を述べる。

研究者は「白」でなくてはならない  どれだけ叩かれても、埃一つ出なくてしかるべきである

小保方氏はSTAP細胞の疑義を発端として、それまでの様々な彼女の業績に新たな疑義が生じ、博士論文にまで剽窃(いわゆるコピペ)が行われていたことが次々と明るみに出た。

研究者にとって、疑義がつくということはある意味前科のようなもので、科学界というムラにおいてレッテルを貼られると同義である。だから研究者はみずからの成果を世に出す時には、様々な批判に耐えうるように多角的にデータを検証しセルフチェックを繰り返し行う。これは研究者として、誰から教わる必要のない本能的行動であるといえる。一度「グレーな研究者」と認識されることは、研究者として致命傷であるからだ。

小保方氏は発表したあらゆる業績に疑義が存在しているが、STAP細胞事件まで明るみに出なかった。これは研究をしたことのない人には理解され難いかもしれないが、この世に日々発表される無数の論文の多くは発表した本人以外、ほとんど誰の目に留まることがない。小保方氏は実際の実験をすることなく、自分が考えたストーリーに合うデータを並べる作業をするだけで、博士号を取得し研究論文を発表してきた経験からSTAP論文においても同様の行為をしたと考えられる。

研究者失格である。

研究者は公に貢献することを前提としなければならない

キャプチャ
http://www.iodata.jp/より引用

 

他の多くのサービス業などと異なり、研究それ自体は誰かが必要であるから(他者から求められて)存在する仕事ではなく、何かを探究したくて(自分から求めて)行う仕事である。それ自体が直接的にすぐ人間や社会のためになることは稀であり、それ故利益を生み出せないことがほとんどで、研究は専ら公的なお金を使って行われている。

だからこそ研究者は、自分の研究がいつか将来だれかの役に立つと信じて研究しているし、そうでなくてはならないと思うのだ。だからそもそもありもしないデータを捏造してだますような輩は、存在しないはずなのだ。研究者は目の前にあるデータが捏造であるという可能性を考えて論文を読んだりはしない。

小保方氏の行った行為を擁護する意見として、「周囲の期待が強すぎた」とか「周囲のチェックが甘い」などという声があるようだが、いずれも的外れである。期待されてそれに応えようとするのはみな同じであるし、捏造は研究者の前提として存在しないはずのことであるからだ。

自分の嘘で笹井氏を死に追いやったにも関わらず、嘘を認めていない

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正直真相は闇だが、おそらく彼女の捏造されたデータをもとに、論文作成を笹井氏が一部の実験を若山氏が行ったというのが真相だろう。しかしSTAP事件の真相について、小保方氏自身が一番よくわかっているはずである。

事件の経過の中で、笹井氏は自ら命を絶った。彼女にとって、全て真実を打ち明ける最後のタイミングであったのではないだろうか。

自らの手で死に追いやったも同然である。それでもなお謝罪や懺悔の言葉一つない小保方氏を見て、憤りを覚えるのは私だけだろうか?

世界の多くの研究者を欺き、共同研究者を欺き、笹井氏を死に追いやった彼女に擁護されるべき理由があるだろうか?

最後に

おそらく2015年、STAP事件も小保方氏も風化し忘れ去られることだろう。

忘れてはならないという教訓めいた思いと思い出したくもないという憤りが交錯している。

少子高齢化社会を数値で見る ~メディアン年齢上昇と労働年齢人口の減少~

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海外に行って、街を歩いて皆さんどんなところに違いを感じますか?建造物の意匠や、清潔さなどそういう部分に最初は目が行くと思います。私、今現在オーストラリア在住ですが、しばらくいるうちに大きな違いに気付くようになりました。日本にいる間は、全然自覚したことが無かったですが、オーストラリアの街を歩いている人って若いんです。

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あくまでも印象なんですが、子連れで街中を歩いている夫婦、それも2,3人くらい子供を連れているのが普通です。

こういうのって、意外と気のせいってこともあると思うんですが、実際検証したデータとかあるのかなと思ってみてみると、ちゃんとありました。最近読んだ経済本(『日銀、「出口」なし!異次元緩和の次にくる危機』)に出ていました。以下に二つのグラフを引用します。

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上の表は、国連中位推計によるメディアン年齢を国別・年代別に図表化したものである。メディアン年齢とは赤ん坊から最高齢のお年寄りを年齢順に並べた場合に一番真ん中にいる人の年齢のことである。

http://cache5.amana.jp/preview640/10471000174.jpgより引用
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最も近い年代で参照すると、2015年時点で日本は46.5歳、アメリカ37.7歳です。日本は1960年以降一貫してメディアン年齢が上昇し参照できる国の中ではダントツに高年齢であることが分かります。2015年時点での46.5歳という数値にも驚きですが、この数値はドイツ以外の国が2050年に至るまで到達しない35年もの先を進んだ高齢化社会ともいえます。

街で歩いていて年齢層の違いを実感するのも無理ないですね。

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別の切り口で、労働年齢人口(15-64歳)推移を2010年を100として図表化したものが上図です。日本は1995年がピークでその後急激に減り続けていることが分かります。2050年時点で労働年齢人口は2/3になると推計されています。こういった人口予測はかなり信頼度の高いものです。

少子高齢化は避けようの無い現実として、実感としても数値としてもあらわれてきているんですね。

正直この図表を引用させていただいた本書を読んで日本の現状の厳しさを改めて思い知らされました。
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書評 『嫌われる勇気』 ~幸せに生きるための考え方 不幸な自分を幸福な自分に変えたいあなたへ~

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最近時間に余裕があり、本を読む時間がたっぷりとれます。実用的な投資本などを読むことが多いですが、自己啓発的な本も時々目を通したりします。今日は『嫌われる勇気』発刊から1年になりますが、昨今のご時世もあってかベストセラーとなっているようで、私も3ヶ月ほど前にさらっと読んだのですが、ブログを初めて記事にしようと思い再度読み返してみました。

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書評『嫌われる勇気』 岸見一郎、古賀史健 著

本書はアルフレッド・アドラーの思想(アドラー心理学)を対話形式でまとめた一冊です。アドラー心理学は一言でいえば○○○であるという風に簡潔に説明できないので、本書においては青年と哲人の対話物語形式で描いている。

ここで描かれている青年は、言わば読者側の人間、哲人はアドラー心理学者という設定で始まる。

青年は、理不尽で不平等な世界があり、時には自分の容姿や出自、学歴など至る所に劣等感を抱えて生きていると感じている(そしてこれは想定される多くの読者を代弁している)。そういった不平等さをもとに不幸であると感じている。

一方で哲人は、各人に様々なことがおこるが、自分自身の見方考え方一つで混沌な世界がシンプルで分かりやすいものとなり、それを変えることでどんな環境においても幸福であり続けられると説きます。

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我々はこの世で生きていくにあたって、原因論で物事を捉える傾向にあります。例えば、勉強ができないという原因があって引きこもりになる、両親が離婚したから結婚に消極的だ、などです。

一方でアドラー心理学では目的論で現象を捉えます。すると先ほどの、引きこもりになるというのは親の心配を集めたいという目的を達成するための合目的的な行動という風に捉えられます。

上記はほんの一例ですが、対話を通じて、たくさんの事例がアドラー心理学的には全く別の見方ができるということが示されます。そしてそれほこの本の重要な論点である、不幸⇒幸福へという議題へ移っていきます。

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この本を読もうと思う人の多くは、どこかで自分が不幸であると自覚していると思います。それは過去の様々な出来事のために、結果として今自分が不幸な目にあっているというストーリで理解されていることと思います。

アドラー心理学では、自分が不幸であるのは『自分が不幸であるという世界観(ライフスタイル)を受け入れたから』であると考え、その世界観を変えることによって、幸福を手に入れられると考えます。この『不幸な世界観』⇒『幸福な世界観』を得るために必要なのは、自分を変える勇気だけであると考えます。

上記のこと以外にも多くの人が悩む劣等感への対処の仕方、悩みを生む対人関係への対処法がボリュームたっぷりの内容で書かれています。以下に少しだけ気に入った文面を上げておきます。(本文一部引用)

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  • 他者の期待を満たす為に生きているのではない、自分は自分のために生きていなければ誰のために生きるのだ
  • 自分を変えることができるのは、自分しかいません
  • お前の顔を気にしているのはお前だけだよ
  • 困難に直面することを教えられなかった子供は、あらゆる困難を避けようとするだろう
  • 自由とは、他者から嫌われることである
  • 「他者からどう見られているか」ばかりを気に掛ける生き方こそ、「わたし」にしか関心を持たない自己中心的なライフスタイル
  • 人は自分には価値があると思えた時にだけ、勇気を持てる
  • 人生の意味は、あなたが自分自身に与えるものだ

「目から鱗」とまではいきませんが、繰り返し読むことで本書の伝えたい意味が少しわかってきた気がします。どなたにも一読をお勧めします。
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書評「あとでやろう」と考えて「いつまでも」しない人へ~自分を変えたい人が読むべき本~

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今日は著名な精神科医であり作家でもある和田秀樹さんの著書『「あとでやろう」と考えて「いつまでも」しない人へ』を読んで、是非皆さんにも共有したいなと思いましたので、書評を記事にしました。

まず最初に本書の題名にあるように、『いっつも「あとであとで」ですぐにやらない人』を自覚している人多いと思うんです。自分もその一人だなって強く自覚します。

  • メールを24時間以内に返さず送信者から言われたり会ったりしてから返信する
  • いつも期限ぎりぎりになるまで書類を作成しない
  • 仕事が時間通りになかなか終わらない

上記に当てはまる人は、是非この本を読む価値あるんじゃないかなって思います。

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そこで本書を読んでみるとなるほどと思うことが、いくつか書かれています。本書では「あとであとで」タイプの人は「のろま」と評されています。そして「のろま」のタイプを6つに分けています。

  1. 頭の回転が遅いのろま
  2. 完全主義ゆえののろま
  3. 計画倒れのろま
  4. 先延ばしのろま
  5. 言い訳上手なのろま
  6. 面倒くさがりのろま

詳しい内容は省きますが、みなさんどれかに当てはまっているんではないでしょうか?

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本書では各タイプ毎にまず変えるべき心構えが述べられています。

自分が当てはまるなーと思うタイプ4の先延ばしのろまへの対処法として、「期日を守ってやらないことが、何よりも悪いことだという価値観を植え付けること、それまでに形にすることを重要視しよう」という提言はなるほどいい心がけだと思いますし、その他のタイプでも頷ける内容ばかりです。

次に「のろま」を治すために、どう対処するかが述べられています。

これはいいなと思ったのは、細かい時間のかからないことから順々にやっていく(メールやちょっとした仕事は思いついたらすぐ)。ある程度時間をとらなければいけない仕事は、しっかり優先順位をつけて集中してやるなど。これは基本的な時間管理術ではありますが、自分も含めて「のろま」な人ができていないことだと思います。

「のろま」の治療法はまさにケースバイケースですが本書では以下のステップを踏んで、「のろま」の自己治療を進めていく知恵を与えてくれます

自分で自分が「のろま」だと自覚するステップ

どんな「のろま」か自己診断するステップ

タイプが分かったら持つべき心構えを知るステップ

具体的に対処し、治すステップ

限られた時間をより有意義にしたい方、「のろま」を治して自分を変えたいと思っている方に是非お勧めの本です。
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書評 『「決算書」の読み方のコツと「経営分析」のポイント: 「5つの箱」で理解する』  高下淳子著

今日は休日で時間もありましたので、のんびり本を読みました。正直決算書を十分に読みこなせずに投資しているので、これを改めるため本日は『「決算書」の読み方のコツと「経営分析」のポイント: 「5つの箱」で理解する』を読みました。ザクッと書評をお伝えします。

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書評 『「決算書」の読み方のコツと「経営分析」のポイント: 「5つの箱」で理解する』  高下淳子著

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本書は比較的初心者向けに、『決算書の読み方』と『経営分析』が両方簡潔に書かれています。所謂本当の初心者の人には少し分かりにくい部分があるかもしれませんが、実際に株式投資をやっていてもう少し決算書が読めるようになりたいと思っている自分のような人間にはちょうどいい感じの難易度だと思います。最初から最後までゆっくり読んでも2時間あれば十分です。もう少しビジュアル使って図解してくれると尚分かりやすいと思いますが、十分に及第点は行っているないようでした。

特に分かりやすく書かれていた参考になる部分を以下に示します。

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上記は賃借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)を分かりやすく5つの箱に分けて示しています。これは決算書を読むうえで基本の基本ではあります。

つまり

  • 資産=負債+純資産(⇐期毎の利益余剰金が加算) ⇒ 賃借対照表(B/S)
  • 収益=費用+利益(⇒期毎の利益余剰金として資産へ) ⇒  損益計算書(P/L)

となっているということを図示しています。

会社の収益力を見る指標 ⇒ PERだけでなく、売上総利益推移や販管費推移を見る

普段企業分析を行う際には、自己資本比率やPBR、そしてもっとも重要視されているのがPERではないかと思います。ビジネスモデルの良い会社は成長力があり、収益力もあることが多いですが投資対象を選定するときには、それ以外に売上拡大に対して売上原価や販管費が相対的にどのように推移しているか確認することも参考になります。私はあまり製造業には投資しませんが、特にサービス業やIT企業などにおける売上原価・販管費は今後人件費高騰によって、競争力にも大きく影響を与えることになりますので、毎期しっかりと決算書を確認していく必要があると思います。

他にも営業キャッシュフローを見る重要性、営業キャッシュフローと営業利益の違いなど初心者投資家が悩むポイントについて簡潔に書かれています。

是非皆さんにも読んでいただきたと思いました。お値段もKindle版250円とお値打ちでした。
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書評 『MarketHack流 世界一分かりやすい米国式投資の技法』 広瀬隆雄著

今日は最近読んだ投資関連の本についてご紹介したいと思います。

『MarketHack』ブログと広瀬隆雄さん

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広瀬隆雄さんは投資家の中では広く知られた存在の『MarketHack』の編集長であり、カリフォルニア州投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツ代表でもある人物です。彼は今回紹介する書のなかでも書かれていますが、ここ30年ほど米国株式投資の一線を歩んできています。今回この本を読んだのは、普段欠かさず目を通している『MarketHack』ブログは、とてもロジカルで詳細な解析がなされていてお気に入りとなっていることから、このブログ管理者である広瀬隆雄さんの分析手法が分かりやすく説明された本書を読んでみようと思ったわけです。

書評 『MarketHack流 世界一分かりやすい米国式投資の技法』

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本書は著者自身の経験を交えながら、銘柄選択を行う上で重要な視点が分かりやすく述べられています。以下に自分が気になった項目まとめてみたいと思います。

  1. 純利益やEPSより、営業キャッシュフローを重要視する
  2. 営業キャッシュフロー>純利益を満たている
  3. 営業キャッシュフローが年々着実増えている
  4. 営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)が15-35%
  5. 四半期最後で売り上げが増えている場合、悪い企業だ
  6. 上場間もなく決算を2回連続失敗した会社は迷わず損切りする
  7. 株を購入することは勉強の始まり
  8. グロース投資で株を買った直後から損になるような場合、8%下がったら損切り
  9. ワイド・モート(堀が広い)企業を買う
  10. 「投資」の文字が躍るようになったら、買い手を控える

だいたい上記のようなことが自分が思う本書を読んでためになったことです。営業キャッシュフローはもちろん毎度チェックしていますが過去数年分にわたって継時的にとらえるデータベースはなかなかありません。私は四季報プレミアム契約をしていますので、以下のようなキャッシュフロー推移など見ることができます。

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上記は日本M&Aセンターのデータで、日本企業の中ではかなりピカピカの業績を続けていると思っています。実際日本M&Aセンターは営業キャッシュフローは順調に右肩上がりに増えていますし、営業キャッシュフローマージンは2014年3月期で40.6%に至ります。優良企業においてはやはりエムスリー23.5%、クックパッド29.3%など営業キャッシュフローマージンが保たれていることが分かります。いずれも営業利益はもちろんですが、営業キャッシュフローも順調に増えています。

これらの基準は今後企業を分析していくうえで、スクリーニングに使えるなと思いました。一方で、どのような企業がこのような儲かる構造となるかという点については一概に言えないということも分かります。やはりこの点については、ビジネスモデルをどのようにとらえるのか、これが一番重要だと改めて思いました。

株式投資初心者の方には大変おすすめできる書であると思います。みなさんもぜひ一度読んでみてください。
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